名友報123号 「夏のクイズ」 講評と解答
名友報のクイズも10回を数えることとなりました。回答をお寄せいただく読者の数は、それほど多いとは言えませんが、毎回応募いただく方も、たまに応募いただく方もお見えになり、毎回新しい応募者もお見えです。応募されない方も含め、たくさんの読者の頭を悩ませてきたことと思います。誠に申し訳ない思いです。クイズの専門家でない出題者も、何かと頭を悩ませて、国語系(文学作品など)、数学系(方程式など)、社会系(統計や旅行・鉄道に関すること)の3分野から、それぞれ1問を出題する形式を続けています。年齢がある程度進むと、頭の柔軟性が衰えてくるので、少しでも、その対策となるように、考えているつもりです。
第10回の「名友報夏のクイズ」は、7月7日(金)に応募を締め切り、採点の結果、多数の方が正解されたので、抽選により特賞(宗次ホールコンサート券)、A賞(図書カード千円券)、B賞(クオカード5百円券)3名、の計5名が当選となり、7月中旬、賞品を発送いたしました。当選の方はおめでとうございます。また残念ながら当選されなかった方も、また次回にご応募ください。
それでは、問題ごとに、解説いたします。
第1問
次の文章は、西洋の宗教に正面から取り組んだ著名な小説の書き出しの部分を抜き書きしたものです。その小説の表題と著者の名前を答えてください。
「ローマ教会に一つの報告がもたらされた。ポルトガルのイエズス会が日本に派遣していたクリストヴァン・フェレイラ教父が長崎で「穴吊り」の拷問をうけ、棄教を誓ったというのである。」
「西洋の宗教」というのが、「キリスト教」を指すことは、「イエズス会」からも明らか。日本語の文章であり、作家は日本人と思われ、キリスト教を取り上げた作家では、第一人者といえる存在の「遠藤周作」さんが思い当たる。遠藤さんの著作にはキリスト教に題材を得た作品が多くあるので、よく知っている方は、「沈黙」ではないかも、と思われたでしょう。ここは代表作「沈黙」を取り上げました。ほとんどの人が、「沈黙」と思ったことでしょうが、確認するためには作品にあたる必要があります。読むのは、なかなかしんどい作品です。
今年(2023年)は、作家遠藤周作の生誕100周年にあたるそうで、生誕の長崎などで、様々なイベントが開催されたようです。映画「沈黙」もヒット作だったので、映画でご承知の方も多いかもしれません。
第2問
兄と弟は、それぞれ実家を離れて暮らしています。兄の住んでいる家から実家までの距離と、弟の住んでいる家から実家までの距離は、合わせて34.0㎞です。ある日、二人が実家で会うことになり、まず弟が時速4.0キロメートルの速さで、歩いて家を出ました。その30分後に兄が自転車で、実家に向かいました。時速12.0㎞です。二人は、同時に実家に着きました。時刻は午後3時でした。次の問に答えてください。
1) 兄の家から実家までの距離はどれだけですか。
2) 弟が家を出たのは何時何分でしょうか。
この種の問題は、距離=速さ×時間(D=S×T)の公式を活用する。
未知数は、いくつかあるが、まず弟の家から実家までの距離をX㎞時とし、兄の家から実家までの距離をY㎞時とする。また、弟が実家まで要した時間をA時間としておく。この際、それぞれの単位をそろえておくことに注意。
題意から、 X+Y=34 ・・・ ①
4.0 × A = X ・・・ ②
12.0×(A-0.5) = Y ・・・ ③ が導かれる。
②③を①に代入して 4A+12A-6=34 から
A= 5/2 となり、弟の所要時間が2時間30分とわかる。
午後3時ちょうどに到着したのだから、2)の答えは 午後0時30分
また、時速4.0キロメートルで2時間30分かかったのだから、弟の実家からの距離は10㎞であり、兄は24㎞とわかる。
正解 1) 24㎞ 2) 午後0時30分
第3問
鉄道の駅には必ず始発駅と終着駅があります。始発(終着)駅の中には、本線から離れて、一駅だけ孤立して存在する駅もあります。本線に出るために、一駅だけの列車が運行されます。日本全国のJR各線の駅で、一駅だけ孤立している駅を3つ探して、その駅名とその駅が属する路線名を答えてください。例えば長崎駅や函館駅は、時刻表の地図で見ると一駅飛び出ているように見え、すべての列車が終着(始発)となりますが、一駅だけの運転をする列車がないので、該当しません。発着する列車に一つでも、一駅だけの運転をしていればよいとします。
(第3問の解説)
この問題は、出題の表現に悩んだ末に表記のようになったが、回答者が少なく、「チャレンジ」を断念した、と言われる方も少なくなかった。この地方では、大垣駅に寄ると、美濃赤坂駅に行く列車がある。東海道本線の支線の扱いで、大垣~美濃赤坂間だけを運航している。この路線は、荒尾駅をはさんで3駅の路線となっている。イメージとして、こういう路線で二駅間だけで列車を運行している路線を探してほしい、というのが題意でした。函館、長崎を適さない例として出したことが、わかりにくくしたかもしれない。
有名な駅では、山陰本線長門市駅から一駅飛び出している「仙崎駅」がある。
大震災のころ、毎日、放送されていた詩人の金子みすゞさんが生まれた町だ。仙崎駅と長門市駅間だけの運行列車もあるが、多くは美祢線直通の列車だ。美祢線は最近の豪雨で不通区間ができた。近年、運行本数が減って、仙崎に行くのは、長門市駅前からバスに乗るほうが便利となっている。
また、大阪の南に堺市があるが、阪和線の鳳駅から、「東羽衣駅」行きの一駅だけの列車が運行されている。その昔は有名な海水浴場へ客を運ぶ路線だったようだが、今は普通に集合住宅のお客さんを運んでいるようだ。都会なので、車両は3両か4両編成で、運行本数も多く、乗客も多い。
3つ目は、兵庫県で、山陽本線の兵庫駅から海に向かって1駅だけ運行する「和田岬駅」。コンビナートの会社の従業員を運ぶのが主で、朝夕だけ運航される。乗客は大変多い。
そのほか、回答では、博多南線の博多南駅を挙げた人もいた。山陽新幹線の車両回送ように造られた路線で、普通列車だが、車両はすべて新幹線仕様というか、新幹線そのもの。博多まで一駅運航すると、博多からは山陽新幹線として、新大阪方面に運行される。これも正解。また、東北新幹線の新青森駅を挙げた方もいた。新青森駅は孤立していないので、答えるなら、在来線の青森駅だが、青森と新青森間の一駅だけの運行列車が確認できないので、青森駅は不正解とします。ほかに、神奈川県の鶴見線で、鉄道地図では、安善駅から大川駅が一駅だけ飛び出しているように見えるが、この駅間だけを運行する列車はないので不正解。ほかにも正解はあるかもしれないが、見つけられたのは、上述の4駅だけ。
※名友報123号の記載に一部誤りがありました。前回(122号)「新春クイズ」の正解は、次の通りです。お詫びして訂正します。
前回の正解
問1 作品名「ひかりごけ」 著者名「武田泰淳」
問2 所持金「3000円」 ハガキ 「27枚」
問3 県名 「長崎県」 路線名 「大村線(西九州新幹線)」