名友報第124号 「新春クイズ」 解説と講評

第1問 

 次の文章から推測される作家の氏名と、その作家の直木賞受賞作品名を答えてください。

 彼は、今から約百年前の大正12年に東京で生まれました。小学校卒業後に株式仲買店で働きました。軍隊を経て第二次世界大戦後は区役所勤務も経験しました。長谷川伸に師事し、新国劇のための脚本を書き、商業演劇の脚本家として地位を築きました。その後、時代小説、歴史小説の分野に転じ,テレビや映画の人気シリーズとなる数々の作品を残しています。故郷の区立図書館の一角に、彼の記念文庫が作られています。 

 正解は 作家名 「池波正太郎」  作品名 「錯 乱」 

 池波正太郎氏が、小学校を出て株式仲買店で働いていた、当時は「給仕」といって、今では使われない言葉「小僧さん」として扱われていたという有名なエピソード。テレビの「鬼平犯科帳」や「剣客商売」のシリーズ物は、何代もの役者さんが演じて、今も放映され続けている。

テレビでは亡くなった中村吉右衛門の「鬼平」や藤田まことの「小兵衛」がなじみ深いが、松本白鷗や中村(萬屋)錦之助なども鬼平を演じている。東京の台東区立図書館の1階に、「池波正太郎記念文庫」があり、作家の書斎を再現したスペースなどがある。作家名はすぐわかると思うが、直木賞作品の「錯乱」は有名かといえば、?。書店には並んでいない。

第2問

 西川さんは、所持金の1/3で文房具を買いました。残りの所持金の2/5より300円多いお金で本を買ったところ600円残りました。次の問いに答えてください。

 1)本の代金はいくらですか。(消費税は考えません。)

 2)西川さんの最初の所持金はいくらですか。 

 正解は、 本の代金「900円」  所持金「2250円」

 簡単に答えが出ると思ったが、方程式を立てて計算しようとすると、意外に

てこずる。正解された方は、計算力のある方。

この問題は、「割合」を利用し、方程式を使わず、線分図で考えてみます。

問題を線分図で表すと、次のようになります。

まず、本の値段を求めます。文房具を買った残りをXとします。

X―2/5=3/5

で、これが300円+600円=900円なので、Xは1500円。

本の値段は1500―600で、900円となる。 

所持金の2/3が1500円なので、所持金は、2250円となります。 

この問題を方程式で解くと、所持金をxとして、

文房具=1/3x  本=(x―1/3x)×2/5+300  残金=600

となるので、

x-1/3x-{(x-1/3x)×2/5+300}=600 という式が成り立つ。

第3問 

 次の文章を読んで、推測される都市名を答えてください。

 この町は、東北地方の海岸に位置する。沖合の島のおかげで、風よけとなり、「風待ち」港として重宝されていた。東北各地で収穫されたコメを、大河を利用して集配し、巨大なコメの貯蔵倉庫を造った。テレビドラマの「おしん」の舞台にもなった。元禄時代には、松尾芭蕉が訪れた記録もある。河村瑞賢による航路開拓で、北前船の寄港地として北海道から近畿地方まで、幅広い貿易の拠点港として栄えた。 

 正解は  山形県 酒田市

 

 説明の必要もないくらいとおもうが、いまではテレビドラマ「おしん」といっても通じない人が多い。我々の世代(65歳以上)なら、なんとか通じよう。

 酒田の街に、巡回バスが定期的に走っており、いくつかのルートがあるようだが、「山居倉庫」を通る。ここが「ドラマおしん」の舞台となった倉庫群のあるところ。観光客の大半が訪れる。江戸末期から明治にかけて、稲の耐寒品種の改良が進み、東北地方でも米作が盛んとなる。山形県の庄内地方と呼ばれる酒田を中心とする地域には、最上川の水運を利用して、東北各地のコメが集められた。

 酒田は、沖合にある小島が風よけとなって、風待ち港として重宝され、北前船の寄港地となったおかげで、「本間家」という、殿様をしのぐ豪商が出現した。

 蛇足ながら、酒田市の近くに鶴岡市があり、時代劇ドラマで名の知られる藤沢周平氏の故郷。海坂藩という架空の藩を舞台にしたドラマがあった。それほど大きな町ではないが、落ち着いた、雰囲気のある街並。ついでに寄ってみてはいかが。

今回のクイズは応募者数が20人と、少なかった。その割に不正解が多く、正解した方の賞品獲得率は高かった。不正解の中で、回答の一部を答えていない、というものがいくつかあった。「チャレンジ」で応募された方は、もったいないミス。新聞のクイズに応募する際、私もよくやるミス。投函前にもういちど確認を。

問1では、池波正太郎はすべて正解。直木賞受賞作品名「錯乱」を答えていない方が数名。これは調べないとわからないと思うが、いまでは簡単に調べられる。問2、算数の問題は計算間違いと思われるミスがあった。計算問題は、たぶん正解がわかるので、わかった人しか応募しない傾向があるようで、常に正解率は高い。

問3では、回答者全員が「酒田市」を答えた。問題がやさしいというか、ヒントが多かった。難しくすることはできるが、それが本意ではないので、問題を考えて、自分もその街へ行ってみたいと思わせるような出題をしたい。 正解者多数のため抽選の結果、南区のOさんに宗次ホールのコンサート券、西区のMさんほか3名の方に、図書カードかQUOカードをお送りしました。いずれも3月上旬に発送しています。次回、125号にも「夏のクイズ」として掲載を予定しているので、多数の応募をお待ちいたしております。